活動のご紹介
トラ保護基金
トラ・・・この強く、美しい孤高の王は、20世紀初頭の10万頭から4,000頭前後にまで激減、今後100年間で20%の確率で絶滅すると予測されるに至っています。それはアジア地域における野生の生きものの世界の退潮を、そしてアジア人の自然環境の危機を示しています。
トラが躍動する広大な森林は、数知れぬ野生の生きものたちが、網の目のような関係を日々つむいでいる安定した世界であり、40億年に及ぶ進化の営みが続く場所でもあります。 もし、トラを救うことができたなら、それはアジアの生物多様性の保全と私たちの自然環境の未来に対する大きな希望となるでしょう。
ゾウ保護基金
ゾウの体の大きさが人々を圧倒するように、ゾウは自らが生息する大地-数知れぬ生きものの生息地であり、私たち人間の自然環境-に、想像もつかない大きな影響を与えています。たとえば、ゾウが草木を食べたり、動き回るとき、ひんぱんに木を押し倒します。その際、森の中に光を注ぎ込むことで、あるいは丈の低いしげみを踏みつけていくことで、森林と草地のモザイク状の組み合わせが形作られます。そこには、多様な動植物が生きる多様な環境が生まれます。ゾウが自然に生きられるようにすることは、その地域の生態系を保全し、40億年に及ぶ進化の営みが続けられるようにすることになります。それはまた、アジアとアフリカの生物多様性の保全と私たちの自然環境を保全することにもなります。
イリオモテヤマネコ保護基金
イリオモテヤマネコは、世界で西表島だけに生息するヤマネコです。
1965年に動物文学者の戸川幸夫氏らが発見(1967年に新種記載)、もともと300平方キロメートル(東京23区全体の約2分の1)にも満たない島にヤマネコが生息していること自体が奇跡的などといわれ、国際的にも注目されました。
西表島は水の豊かな、森林におおわれた島です。20万年も前から独自の進化が起こり、島固有の生きものたちを生み出しました。その結果、西表島には、日本でも有数の生態系がみられます。この世界を生んだのも進化のプロセスであり、ヤマネコとその生息地を保全することは、そのプロセスを確保する=生物多様性を保全することになります。生物多様性を基盤とした西表島の地域振興の未来も、ヤマネコの保全と同一線上にあるはずです。イリオモテヤマネコの保全は、日本における生物多様性保全と「人と野生動物との共存」の重要な実例となるでしょう。
そのヤマネコも、近年減少傾向が報告され、その数わずか約100頭といわれています。そのため、日本で最も絶滅のおそれの高い動物のひとつとなってしまいました。
脅威となっているのは、生息地が農地整備やリゾート開発などによって破壊されていることや、幹線道路上で多発するヤマネコの交通事故などです。
イリオモテヤマネコを守るためには、今、新しい保護活動が必要です。
イリオモテヤマネコの思い出とこれから
戸川久美
私が小学校高学年のころ、父は西表島に行っては数カ月帰ってこず、帰ってきたと思ったらまた行くという、行ったり来たりの生活をしていました。そして発見されたイリオモテヤマネコ。やがて捕獲に成功したオスとメスのヤマネコが国立科学博物館へ行く前の約2年間、自宅の庭で飼育されました。ヤマネコを見に国内外から学者さんなど様々な方が家へ訪れるたびにヤマネコの発見はすごいことだと実感していました。冬になると寒さに弱いヤマネコのために、子供部屋を譲り渡し、台所で宿題をしていたのもいい思い出です。ヤマネコは近寄るとフゥーッと声を出し、捕らわれても威厳のある野生の姿をケージの中から見せつけていました。
あれからもう40年以上も経ちます。開発が進んでいるなか、数を減らしながらもヤマネコは必死に命をつないでいます。絶滅のおそれが一段と増したにもかかわらず、そして交通事故で死ぬネコが多いこともわかっているのに、県道の幅は広がり速度制限は十分守られず、観光客は増え、リゾート会社に次々とヤマネコの生息地も買い取られています。
ひっそりと隠れるように生きているイリオモテヤマネコ。発見された当時の「開発か自然保護か」という対立の構図は今も残っているようです。しかしヤマネコがいるからこそ西表島は特異な自然を維持しているのです。自然を愛する人たちが訪れる西表島だからこそ、「ヤマネコにも人にも」良い環境をという独自の価値観をさらに協調し、生物多様性を基盤にした地域振興のモデルケースを作り上げることができるのではないでしょうか。









