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トラの皮を米5キロと交換 インド、アルナーチャル・プラデッシュ州

イーターナガル Mid-Day.com、2010年4月21日

調査によれば、塩や米欲しさに、中国との国境に近いアルナーチャル・プランデッシュ州の森林では、トラの密猟に拍車が掛かっているということである。

地元民は、国のインフラが欠如しているため食糧が不足し、貧困に喘ぐ人々は、野生生物を捕獲して違法な製品を売っていると語る。

「食糧がほとんどないので、村人たちは、もっぱら、木の皮を使って“タッシィ”と呼ばれるポリッジ(オートミールなどを水や牛乳で煮たかゆ)を作って食べています」とクルン・クマイ県Pipsorang村のTargu Tame氏は言う。「ここでは、お金があっても何も買えません。だから、最も手っ取り早いのは、アジア市場を活気づける野生動物の製品を渇望している、中国の助けを借りることなのです」

「絶滅の危機に瀕している数百頭という動物たちは、ただ、人々がその生活を維持していくために、密林で殺されています」と国境線から50キロメートルほどのLimeking村のNoory Noshi氏は語る。「貧困に窮する人々は、中国の商人たちに動物の皮を売って、5キロの米と1キロの塩を得ているのです」

監視されることがないため、古くからの貿易ルートが、今もなお、野生生物の製品の密売に使用されている。Noshi氏は、こういったルートは、アルナーチャル・プランデッシュ州に忍び込もうとする違法な移民者たちの入国拠点となっていると指摘する。

「国境では、塩と米が、それぞれ1キロ200ルピー(411円)、ヌードルは1キロ300ルピー(617円)です。道路もなく、情報施設も欠いています。インフラが整っていないため、食糧は不足しています」と地元MLA(州議員)のRajesh Tacho氏は述べた。「中国の高速道路は、国境線から、ほんの3キロメートルしか離れていませんが、一方、インド側の山道は、50キロほども伸びていて、しかも、そのほとんどが、人々の近づきがたいジャングルの中を通っています」

調査によって、殺された動物の多くが、Oganjo、Ume、Dian、Asapilaなどの中国の村を通過して、こっそりと持ち出されていることが明らかになった。

東南アジア市場に、不正取引の品物を届けている中間業者は、チベット生まれの人々である。

禁止されている野生動物の製品は、ほとんどが雑嚢かお手製の籐の入れ物で密輸出される。時には、高地を駆ける運搬人が、密輸のシンジケートと関係している地元の当局に雇われたりしていると内通者は言う。時々、インドの密売業者が情報提供者のふりをして、情報収集の名目で中国の村々に忍び込んだりする。

インド当局は、見て見ぬふりをしたがり、アルナーチャル・プランデッシュ州の警察署長であるBimla Mehra氏は、この件に関しての言明は避けた。

獲物を追跡し、捕獲するという作業は、通常は何日も要する過酷な仕事である。深い森林の中を、とぼとぼと歩くことは、猛毒の蛇や虫と遭遇する危険性を孕んでいる。

アルナーチャル・プランデッシュ州の森林保護次官のM K Palit氏は、国内の森林で野生生物が頻繁に殺されている事実を認めている。おもに、従来からの人々の慣習と、村人が許可された過剰なまでの武器の存在がその原因である。

さらに、同氏は、ここ数ヶ月の間に、国外へ野生生物の製品を密輸するのに、密売業者の役割が目立ってきていると指摘する。「当初、動物たちは、食糧と交換するために殺されていましたが、今では、さらに、即金を得るために犠牲になっています」と同氏。「状況は、切羽詰まるほどではありません。政府は最善を尽くしています」とPalit氏は付け加えた。
(翻訳協力 石塚信子)

【JTEFのコメント】
かつては食糧と野生生物の物々交換だったものが、中間業者まで入り裏にはマフィアが関係している大商業組織になってしまっていることが分かります。経済力をつけた中国やチベットのトラ需要はとどまるところを知らないでしょう。インド政府はこの地域のインフラ整備を早急に行う必要があり、メディアもこの地を今後も注目し発信続けてほしいものです。

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