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矢傷を負った絶滅危惧種のトラ、インドネシアで罠から救出される

フランス通信社AFP、2012年1月10日

 ジャカルタ - 絶滅危惧種のスマトラトラが全身に矢で重傷を負った状態で見つかり、インドネシアの密林保護区域のワイヤー罠から救出されたと、当局は2012年1月10日に発表した。
 ブンクル州の保護局長スパルトノ氏がAFPに語ったところによると、この5歳の雄トラは、月曜日にスマトラの緑豊かな島にあるブンクル州で見つかった。4日前のものと思われる矢傷が9か所にあったという。

 「私たちが見つけたときには、力なく地面に横たわり、木の枝に結び付けられたワイヤー罠に捉えられた左前足が宙に吊るされた状態でした」と、スパルトノ氏は話した。スパルトノ氏によると、罠はおそらく、この貴重な動物の部位を違法な市場で売り飛ばすことを目的とした密猟者によって仕掛けられたものだという。
 「彼らは、動物の体が傷まないように、スチールワイヤーを使って足で捕まえるんです。こういった罠はトラのためのものです。このあたりの人たちが狩るイノシシのためではありません」
 スパルトノ氏によると、おそらく地元の住民たちが、森の中で罠にかかったトラを見つけて恐怖心から矢を放ったのだろうという。保護局は昨年、州内で同じような罠を複数個見つけ、疑わしい密猟者グループを警察と協力して探しているところだった。

 現在残っているスマトラトラは400頭に満たないが、環境保護活動家によれば、本来の生息地の急激な開拓に伴い、トラと人間との間に衝突が起きる頻度は増しているという。
 今月前半にも、タイの税関職員が密輸されたトラの皮と骨を4箱押収している。6万ドル(約460万円:1ドル=76.53円、2012年2月4日現在)の価値があるこれらの皮や骨は、インドネシアから中国へ送られる途中だったと考えられている。
 バンコクに拠点を置く密輸摘発団体フリーランドは、トラの肉、骨と皮の密猟や密輸が、アジアにおける野生トラの急激な生息数減少の主な原因であると糾弾する。
 トラの生息数は、1世紀前のおよそ10万頭から、世界全体でわずか3200頭にまで落ち込んだものと推定されている。
(翻訳協力 木田直子)

【JTEFのコメント 2012年2月】
 5歳のオストラといえば、繁殖に適したかけがえのないトラです。スマトラトラはスマトラにしかいない亜種です。生息地の破壊も進むなか、密猟者による罠は多く発見されても密猟者を捕まえることはなかなか進まない現状。警察や税関が今のままでは十分機能していないことになります。トラの保全に関するインドネシア政府の姿勢が問われます。密猟されたトラ部位が運ばれる国々との協力、国際刑事警察機構、インターポールの力が必要です。


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