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ベトナム──サイの角と象牙の蓄積品

野生生物の密輸品の処分をめぐって分裂する意見 Tuoitrenews

ベトナムは、不正取引を行っている組織から大量の野生生物製品を押収しており、当局は、高価な押収品を処分するかどうかの問題に直面している。

WCS(野生生物保全協会)によると、ベトナム当局は総計で27 トンの象牙と数百kgのサイの角を野生生物の不正取引商人から押収している。

この情報に対応し、ベトナム国立自然博物館科学委員会の会長であり准教授のPham Van Luc博士は「博物館では、現在、大量の象牙、サイの角、および多くの貴重で希少な動物の部位を保管しています」と述べた。

「これらのうち、ほんの一部が展示されており、残りは倉庫に大切に保管しています」と付け加えた。

一般には、当局では、野生生物の不正取引に反対であることを強調するために押収物を処分している。

「しかし、これらの製品の総額がとても高いことを考えて、地元の管轄当局は、どのように扱うことが適正であるのかを考えています」とLuc 博士は語る。

「委員会では、押収物でお土産品を作るのはどうかと考えましたが、そのような行為は、野生生物の保全および保護に関する国際条約やベトナムの規制に違反することになります」とLuc 博士。

この件に関し、3月24日に、農業・農村開発省は象牙、サイの角、トラの骨は、ベトナムの野生生物の取引を禁止する法律に従って処分されるべきであると述べた。

この開発省の意見を受けて「関係当局がこの件について話し合いを持ち、押収物の取り扱いについて最終結論を出してくれることを望んでいます」とLuc 博士は言う。

一方、ベトナム動物協会の会長であるDang Huy Huynh博士は、象牙とサイの角が処分されるべきか、あるいは保存されるべきかという問題に、特別に関心があると述べた。

「そのような野生生物製品の廃棄は、製品の価値が高額であることを考慮すると大変な無駄になります。われわれは野生生物保護を推進する為に使うこともできるからです」とHuyth 博士は言う。

「しかし協会は、違法な製品を処分するという農業・農村開発省の意見を支持します」と同氏は付け加えた。

先月、Nguyen Tan Dung 首相は、希少で絶滅の危機に瀕している動物またはその部位の不正取引と厳格に戦うようにとの命令を発した。野生生物保護に関するベトナムの悪評判をくつがえすためである。

首相令は、最近になり、ベトナムでサイの角、アフリカゾウの象牙、トラなどの希少で絶滅危惧種である動物の不正取引が発覚した後に発令された。

首相は、関連当局に国境地域、国際空港、港の警備と検閲を強化し、野生生物の不正取引を検出し未然に防ぐようにと要請した。

【翻訳協力】石塚信子

【JTEFのコメント】
 今回のトラ、サイ、ゾウなどの密猟は、1頭1頭の個体の命を奪うだけではなく、その種族(種)speciesの存続自体を危うくしています。今回の議論のように、商業価値を持つ押収品をお金に変えるようなことをすればさらにこれらの動物製品の需要と供給が求められ密猟が激しくなるでしょう。「もう死んでしまった動物のものだから売って有効活用すればいいじゃないか」という安易な発想が1頭の死を1頭だけに終わらせなくなるのです。


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