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ケニアの希少サイの角切断に密猟者たちは不満

フランス通信社(AFP)、2010年1月27日

 4頭の非常に希少なキタシロサイがチェコの動物園からケニアに移送され、密猟対策で角が切りとられたと、保護区関係者が語った。

「ケニアでは、サイの密猟が増加しており、われわれは単に危険を冒したくないのです」と、動物たちが環境に順応できるかどうか監視しているオルベジェタ自然保護区のエロディ・サンペール(Elodie Sampere)氏がAFPに語った。「角がないサイは、密猟者にとって何の価値もありません」とエロディ氏。

 キタシロサイは大変希少なシロサイの亜種で、世界の動物園で8頭が飼育されている絶滅危惧種である(訳注:野生下での確認は途絶えている)。オスとメスが各2頭ずつのこの4頭のサイは繁殖に成功するようにとの希望の中、ケニアに移送された。

 アフリカ東部のケニアは、世界で三番目にサイの生息数が多い。約600頭のクロサイと300頭のシロサイがいるが、2009年は12頭のクロサイと6頭のシロサイが殺され密猟件数が過去最多の年であった。今月も10才のシロサイを殺し角を切断した容疑で密輸組織の12人が逮捕された。

アジアや中東では、角が発熱やひきつけに効く漢方薬の材料として、また催淫剤として需要が高く、それが密輸に拍車をかけている。

 しかし、4頭のキタシロサイの角を切り落としたことで、角が上向きに伸びてくるという利点もあるとエロディ氏は言う。「動物園にいると、角をこすりつける樹木がないため、全部のサイの角は上向きに伸びないのです。」と同氏。

 保護区関係者によれば、自然保護区に放たれた四頭の切断された角の根元にはマッチ箱サイズの送信機が埋め込まれ追跡調査ができるようにしているとのことである。
(翻訳協力 松崎由美子)

【JTEFのコメント】
 世界のニュースを見ているとここ数年サイの密猟が増えています。象牙と違って角は切ってもまた伸びてきますが、体の1部を切り取られ不便を感じないはずはありません。しかしこうまでしなければ昨今の組織化された密猟団からサイを守ることは難しいということでしょう。日本でも犀角は古くから解熱剤に使われ、今でもワシントン条約禁止以前のものとして販売されていることもまれにあります。市場があるから密猟は止まりません。効力が証明されてもいないのに、地球上からサイを永遠に追いやってまで、この薬が必要でしょうか。

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