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好景気でサイの密猟増加

ヨハネスブルク、2010年09月01日

 保護機関は水曜日、東アジアの中流階級層の増大と急激な通信手段の普及がサイ密猟増加の原因の一つとなっていると発表。「東アジア地区にはサイの角を買うことが出来る中流階級層が増えており、角は薬として使われています。」WWFの広報担当Joseph Okori(ジョーゼフ・オコリ)氏はヨハネスブルクでレポーターにこう述べた。

 アジア諸国にはサイの角がガンやその他の疾病の治療に効果的だと誤信されている地域がある。サイの保護機関Trafficの広報担当Tom Milliken (トム・ミリケン)氏によると情報伝達技術の発達がサイの密猟増加に影響を及ぼしているという。

 「アフリカには一億個もの携帯電話が存在します。今や誰もがネットワークでつながっているのです。ある男が禁猟区域から『角を入手した、迎えに来てくれ。』と電話する事も可能です。やがて迎えの車が用意され、その男は一両日中に国外脱出の飛行機の中という事になるのです。数年前では有り得ない事でした。」同氏は、アフリカにおけるアジア人の増加もまたサイ密猟増加の原因となっていると言う。「これはアジア人が操るアフリカを拠点とした犯罪組織による計画的な犯行なのです。」

サイ角は媚薬ではない

 同氏はサイの角で出来た器を販売するベトナムのウェブサイトの写真や未加工角の値段と写真が掲載されたウェブサイトの数々を見せてくれた。その一つに、内側がザラザラした器が写っているものがあった。「これはサイの角を削るのに使われ、おそらくその削られた角に水を足して飲むのでしょう。」サイの角が媚薬に使われることは無いとミリケン氏は明言した。「彼らはサイの角を媚薬として使用する事はありません、マスコミによるこのような間違った報道には憤りを感じます。」

 WWF(世界自然保護基金)は9月22日に開催される『サイのために声をあげよう』でブブゼラを持って参加しよう!と民衆を駆り立てた。このイベントは、違法な取引を行っているギャングに日常的に身の危険をさらされている男女、国の『サイの戦士』をサポートするキャンペーン活動の一環でもあるのです。」とオコリ氏は言う。

 今年は既に188頭ものサイが南アフリカで密猟されている。9月22日にブブゼラや車のクラクションを鳴らす事の他に、WWFは寄付金も募っており、集められたお金は双眼鏡、ラジオ、暗視装置、保護服、追跡装置を含めた密猟を取り締るための道具の購入に使われる。
(翻訳協力 藤原レーシウ 志保)

【JTEFのコメント】
 この数年アフリカでもインドでもサイの密猟が増えています。サイ角が難病を治し媚薬となるというのは、まったく科学的に根拠はありません。中国がアフリカ開発にかかわるようになり、野生動物の密輸に中国人が関与している事件が多く発覚しています。野生動物の取引がいかにマフィアの資金源になっているか、日本ではあまり知られていません。生息地の減少と密猟の防止、商業価値の高いサイを守るにはこの2点の徹底しかありません。

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