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南ア・タンザニアとのサイの保護

政府通信情報システム局(GCIS)提供 BuaNews、2011年03月06日

◆サイの密猟を懸念:モレワ氏
 
プレトリア:エドナ・モレワ 水・環境大臣によると、南アフリカでのサイの密猟は警戒すべき速さで増え続けており、懸念材料になっているという。

このほどモレワ氏は、一般市民にもサイの密猟防止にもっと関心を持ってもらうための呼びかけを始めた。

また、この機会を利用して、南ア野生生物犯罪対応部隊(National Wildlife Crime Reaction Unit: NWCRU)による密猟容疑者や関連犯罪者の逮捕数が増加していることについて、メンバーに祝辞を述べた。

2011年1月以来、南ア全体では合計51頭のサイが密猟されている。その内訳は、クルーガー国立公園33頭、リンポポ州8頭、ムプマランガ州1頭、ノースウェスト州1頭、東ケープ州2頭、フリーステイト州1頭、クワズール・ナタール州4頭、西ケープ州1頭となっている。

「ここで注意すべきなのは、クルーガー国立公園だけでも2010年1月以降に合計182頭のサイが失われたということです。そのうち110頭は公園の東側境界線付近で失われています。2010年1月以降、南アフリカ東部の州(クワズール・ナタール州、リンポポ州とムプマランガ州)にある州立動物保護区ではさらに多くのサイが失われました。これらの州で密猟されたサイは120頭にのぼりました。これは特に、南ア・モザンビーク間の国境を利用する犯罪組織があるためだと考えられます」と、モレワ氏は述べた。

南アフリカとモザンビークは、リンポポ自然保護区内の生物多様性を考慮して、2国間のフェンスを撤去するという歴史的に有名な協定に調印している。

明らかに、この協定が犯罪組織によって悪用されているのである。モレワ氏は、モザンビーク側の担当者と協力して、この問題に取り組む予定だ。

「モザンビークとの今回の共同作業では、とりわけ、サイの密猟という災厄を阻止するためにどのように力を合わせて安全性を高め、向上させるかについて話し合います。また、優先順位の高い犯罪である密猟に対処するために、私たちが各治安機関間の協力を実現するために採用している戦略もモザンビーク側に提供したいと思います。サイの密猟という事態には大胆な対応策が要求されます。私たちの国家治安機関と協力し合うことにより、ORタンボ国際空港などの入国ポイントを強化することが可能であると大臣は信じています」と、彼女は述べた。

大臣は、NWCRUの設立により、サイの密猟関連の容疑者の逮捕数が飛躍的に伸びたことを喜んでいる。

2010年1月以来、南ア全体では44人の密猟容疑者が逮捕された。モレワ氏はNWCRUのパートナーたちの業績には満足しているが、より多くの対策が必要だと考えている。それには、すべての南アフリカ人が力を合わせることと、近隣の南部アフリカ開発共同体(SADC)諸国の協力が欠かせない。密猟者側では、政治的な国境になどなんの敬意も払わないからである。

「私たちの国と大陸の遺産が、サイの密猟によって金持ちになれるという無責任なうわさ話を信じ込んだ犯罪者によって脅威にさらされています。実態はそれとはほど遠く、いくらかでもお金を手にするのは犯罪者組織の冷酷なボスだけなのに」と、モレワ氏は嘆いた。

◆セレンゲティのサイ保護に新たな援軍
ルセケロ・フィレモン(Lusekelo Philemon)記 2011年3月6日

世界的に有名なセレンゲティ国立公園で希少な絶滅危惧種であるサイの安全を確保するために、政府は新たに100人のレンジャーを採用した。

この動きの発端となったのは、昨年5月に南アフリカからこの公園に移送された5頭のサイのうちの1頭を数ヶ月前に密猟者が殺害した事件である。この5頭はジャカヤ・キクウェテ大統領が公式に受領していた。

殺されたサイには“ジョージ”という愛称が付けられ、電子チップが埋め込まれていた。また、特にサイの身を守る訓練を受けたエリートレンジャーからなる特別対策チームによって保護されていた。

タンザニアの国立公園庁(TANAPA)の上級職員アダムソン・カリワ氏は、木曜日に、東アフリカ立法議会(EALA)のメンバーに状況説明を行う席上でこの情報を明かした。EALAのメンバーたちは、観光と野生生物部門におけるEACプロジェクトやプログラムの評価作業の一環としてこの組織を訪れたものである。

タナパの人的資源管理担当官であるカリワ氏はこう言った。「公園内のほかのサイを保護するために、特別なレンジャー対策班を結成しました」

その説明によると、100人の新しいレンジャーは1月上旬から雇われており、そのうちの60パーセントはセレンゲティ国立公園のサイ・プロジェクトに回されるということである。

「私たちは、命をかけてこれらのサイを守りたいと思っています。だからこそ、この戦略を採ることにしたのです。この絶滅危惧種に手出しをする人間がひとりもいないよう、全力を尽くします」と、カリワ氏は断言した。

配置されるパークレンジャーの訓練についてはこう述べた。「彼らは、野生生物を保護する方法について現代的な手法でよく訓練されています」

カリワ氏によると、ほとんどのパークレンジャーはキリマンジャロ地域にあるムウェカ野生生物管理大学で訓練されたということである。

EALAメンバーのジャネット・ムマリ氏は、この国の観光と野生生物部門を強化しようとするタナパの努力を高く評価した。タンザニアの公園やEAC地域ブロックが直面する密猟問題に対処するために結集した努力が必要になるからである。

天然資源・観光省のエゼキエル・メージュ大臣は、国立公園内および境界線に沿って上空から監視を行うことにより、セレンゲティの安全性を高める計画が進んでいると話す。

「これまでもすべての国立公園で安全を確保するための対策を採ってきましたが、先日セレンゲティで希少なサイが殺されたことにより、密猟者たちの戦術が変化し、腕が上がっていることに気づかされました。それで、彼らの一歩先に居続けるために、2倍の努力をすることにしたのです」と、メージュ氏は言った。

公園管理局長ムタンゴ・マヒコ氏は、レンジャーの飛行部隊が導入されることにより、セレンゲティ国立公園の管理作業がより簡単に、より効率的になると述べた。
(翻訳協力 木田直子)

【JTEFのコメント】2011年4月
サイの角はアジアで媚薬や解熱剤として漢方薬に使われるだけでなく、中東では短剣の柄に利用され、一人前の男子に成長した証として伝統的にその短剣を持つことが許されています。1970年代から80年代にかけて、深刻なサイの密猟が起きました。タンザニアのクロサイの場合、1980年代前半に3000頭台いたものが、密猟により1996年には32頭にまで激減しています。経済成長を続ける中国や中東により、漢方薬にも短剣の柄にも、サイの需要はとどまるところを知らず、アジアでもアフリカでも近年サイの密猟が再び急速に増加しています。 JTEFはケニアで空から密猟防止パトロールをするセスナへガソリン代を支援していますが、タンザニアでも飛行部隊によるパトロールが成果をあげることを期待したいと思います。


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