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ニューヨークでいまだに合法で販売されるクマの胆汁と胆嚢製品

2011年03月17日

ニューヨーク州では、クマの胆汁と胆嚢の販売が合法である。2011年3月、動物保護団体のボーンフリー USAは、先頭に立ってクマ保護構想を進めている。アメリカクロクマは胆汁や胆嚢のためにアメリカ全土で殺されている。ニューヨーク州は6,000頭から7,000頭のクロクマの生息地であると同時に、クマ胆汁と胆嚢の自由取引を容認するたった5州のうちの1つである。ボーンフリー USAは、上院に提出された重要法案の起草を手助けしてきた。その法案は、ニューヨーク州のクマ胆汁と胆嚢の自由取引を禁止し、クマを密猟や違法商業取引から保護するものである。

「クマ胆汁と胆嚢の商業化を容認することが、すべてのクマを密猟の危険にさらしている」とボーンフリー USAの執行副会長のアダム・ロバーツは言う。「密猟者や不当利得者が、取引を禁止している近隣のニュージャージー州やペンシルベニア州で逮捕されても、ニューヨーク州から入った胆汁や胆嚢だと主張すれば、彼らは起訴を免れる。バージニア州の狩猟鳥獣内水漁業局と米国野生生物部が実施したおとり捜査で得た証拠により、ニューヨーク州とアメリカ国内にある違法クマ胆汁密売ネットワークが結び付いた。ニューヨーク州議会は、一刻も早くクマの保護活動を実施し、野生生物関連の法律が国内で施行されるよう尽力すべきである。」

全面禁止を。
超党派法案によりニューヨーク州の環境保護法が改正され、クマ胆嚢やクマ胆汁、そしてクマ胆嚢とクマ胆汁を含む、また含むというラベルが貼られた、もしくは含むと宣伝されているすべての製品、胆嚢や胆汁そのものまたはそこに含まれる物質を、何人であろうとも販売、交換、売り込み、交換申し込み、所有、購入、輸送、発送、受取りすることが違法になるであろう。

さらにロバーツは、「法律が制定されれば、クマの胆嚢と胆汁取引に反対する健全な政策が州で作られる。クマの部位取引を禁止する法律が存在しないがゆえに、各州間または国際的な違法取引が容易に盛んになり、野生生物関連の法律施行への取り組みが困難になるのだ。クマの胆嚢や胆汁は、思いやりのあるニューヨーカー達に支援される価値があるものである」とつけくわえた。

アジア系薬局の20%がクマ胆汁を販売
アメリカや海外の商業市場に供給するためのクマの胆嚢と胆汁は、闇市場で数千ドルで販売される。アジアのクマは絶滅寸前のため、密猟者は市場需要に応えるためにアメリカ産のクマに依存するのだ。クマ胆汁製品に関する秘密調査では、アジアの伝統的な薬を扱うニューヨーク市の商店のうち20%が、地元に生息する野生クマから取った完全な胆嚢や胆汁を公然と販売していることがわかった。

シャンプーや痔の治療クリームに含まれるクマ製品
クマの胆嚢や胆汁が、シャンプーや痔の治療クリームなどの医薬品以外で使用されていることが次第にわかってきた。アメリカのクロクマが野生で密猟され、胆嚢取引に供給されるのに対し、アジアのクロクマは棺のような檻に入れられ、絶え間なく胆汁を「搾り出されて」いる。しかし、報道によるとクマの胆嚢や胆汁の代わりに使用でき、伝統的な医薬品と効果が同等な薬草は54種もあるという。

ボーンフリー USAは、アメリカ国内で有名な動物保護や野生生物保護分野のリーダー団体である。訴訟、法律や啓蒙活動を通じて、ボーンフリーUSAはサーカス等の動物、外来種「ペット」、毛皮目的の捕獲、有害で国際的な野生生物取引に反対する重要な運動を行う。

テキサス州にあるボーンフリーUSAの霊長類保護区には、研究所、移動動物園や個人所有者から救出された500以上の霊長類が生息している。ボーンフリーUSAは、「思いやりのある保護」というメッセージをアメリカに持ち込んでいる。このメッセージは、「野生のエルザ」という伝説的映画で主役をつとめたビル・トラバースとヴァージニア・マッケナー、そして息子のウィル(現在、両団体の代表)が1984年に設立したイギリスに本部のあるボーンフリー財団が掲げる構想である。

ボーンフリーUSAの使命は、捕らわれた野生生物の苦しみを終了させ、絶滅危惧や絶滅寸前の種を保護し、世界中に思いやりある保護を促進することである。
(翻訳協力 久保恵理香)

【JTEFのコメント】2011年4月
アメリカクロクマだけでなく多くの種のクマが絶滅の危機にあり、国際取引が規制されています。しかし、熊胆(ユウタン)は日本でも製薬され合法的に販売されています。胃痛や解熱等に効果があるといわれ需要が多いので、クマの密猟が後を絶ちません。販売が合法化されている地域に密輸で入ってしまえば合法なものに紛れて堂々と販売されてしまうのです。しかしこのニュースにあるようにクマに代わる生薬はあるのですから、あえて絶滅させてまでクマの胆のうを使う理由があるのでしょうか。
ボーンフリーUSAは JTEFとも付き合いは古く、情報交換等をしています。


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