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ヴィルンガ国立公園のマウンテンゴリラの赤ちゃん、密猟者から救われる

2011年08月

孤児となったゴリラの赤ちゃんが密猟者から奪回される
赤ちゃんゴリラは他の孤児と合流

2011年8月。赤ちゃんのマウンテンゴリラが、コンゴ民主共和国の国境にあるギセニの町で、ルワンダ警察により密猟者から押収された。警察は、赤ちゃんゴリラを保持していたコンゴ人の密猟者たちと、密猟者を援助していた2人のルワンダ人を逮捕した。密猟者たちによると、ゴリラは、ヴィルンガ国立公園のブキマ地区付近で捕まえたらしい。マウンテンゴリラは、絶滅寸前種であると指摘している。また、赤ちゃんゴリラは、捕まえて6日程経っているとも話し、バナナとサトウキビを与えて、ルワンダへ密輸入するつもりであったようだ。

生後八か月のゴリラ
ヴィルンガ国立公園のパートナーである、マウンテンゴリラ・獣医プロジェクト(MGVP)の獣医たちは、推定生後八か月と思われる赤ちゃんゴリラをルワンダのキニギにある孤児保護センターへ連れて行った。赤ちゃんゴリラはそこで念入りな健康チェックを受ける。獣医たちによれば、赤ちゃんゴリラはひどい咳をして鼻水をたらしているが、健康そうだという。

保護対策を強化
ヴィルンガ国立公園の園長である、マロード 博士は、「ルワンダ当局によりマウンテンゴリラの赤ちゃんが奪回され、密猟の容疑者が逮捕されたことは目を見張るような偉業であります。しかし、この事件は受け入れ難く、非常に悩ましいです。レンジャーが直面している数々の問題を反映しています。今年、公園を守っている11人のレンジャーが殺されました。現在、罠を取り除いたり、密猟対策を増やしたりするなど、保護対策を強化し、地域住民との結束と協力を堅くする努力が進行中です」と本日、語った。

ルワンダ警察は、密猟者の逮捕とゴリラの出所はわからないことをヴィルンガ火山国立公園のチーフレンジャーであるウミンゲリ氏に通知した。そしてMGVP(マウンテンゴリラ・獣医プロジェクト)の獣医たちが呼ばれ、夜10時ごろに、ギセニの拘置所に到着した。

「われわれが拘置所に入ると、密猟者の一人がすぐに、ベッドの上で堅く丸くなって眠っていた赤ちゃんにくしゃみをしました。」ジャン・ラメール博士は言った。「30日の検疫期間がまもなく終了します。できれば、コンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園内にあるセンクゥエクゥエ養護センターに返し、同じく孤児のゴリラであるマイシャ、カボコ、ンデゼ、ンダカシたちと一緒にしてやりたいのです。われわれは慎重ですが、この赤ちゃんゴリラのことについては楽観的に考えています。この子は緊張していますが、人間を受け入れてくれていますし食欲もあります。すべてのことが回復に向けてのよい徴候なのです」

ヴィルンガ国立公園は、アフリカ最古の国立公園(設立は1925年)で、1979年以来、ユネスコの世界遺産となっている。200頭のマウンテンゴリラが生活し、低地に住むヒガシローランドゴリラも、わずかだが生息している。以前には、アルバート国立公園として知られていたが、ヴィルンガはコンゴ民主共和国東部に位置し、7,800K㎡の広さを誇っている。公園を管理しているのは、コンゴ自然保護協会(ICCN)である。

マウンテンゴリラは、深刻な危機状態にある。世界に、現在790頭が生息していると見られているが、そのうち480頭がヴィルンガ火山保護区(コンゴ民主共和国、ルワンダ、ウガンダが共有している)に住み、306頭がウガンダのブウィンディ原生林に住んでいる。2010年春に実施された最新の調査によれば、ヴィルンガも含まれる3カ国共有のこの森林地域に住んでいるマウンテンゴリラは、この7年間で26.3%増加し、平均3.7%の割合で増えていることがわかった。

コンゴ野生生物局(ICCN)とそのレンジャーたちは、コンゴの国立公園と野生生物たちを密猟者や反乱軍のグループ、違法な鉱夫たち、土地への侵入者から保護しようと国を徹して努力している。コンゴ民主共和国東部にある5つの国立公園を守る140人を超えるレンジャーが、この10年間に殺された。また、内戦の間に働いていたレンジャーたちには、ほとんど給料も支払われなかった。
(翻訳協力 石塚信子)

【JTEFのコメント】
コンゴ民主共和国は1990年代から内戦が続いています。その度に犠牲になるのは野生動物と彼らを守るレンジャーです。象牙も取られ、森に入り込んでゴリラを食することも多々あり、それでゴリラの数が一時ひどく減少しました。今マウンテンゴリラが増加したと言っても、まだまだ絶滅から免れる数ではありません。また、ここ数年はコルタンというレアメタルがゴリラの保護区に豊富にあるため採掘しに入った人たちがゴリラを食料にしています。森は荒らされ、野生動物は減少し、その結果としての地球環境の破壊は人間に覆いかぶさってきます。密猟防止パトロールとともに、地元住民との信頼関係作りが重要です。


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