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環境省イリオモテヤマネコ分科会へオブザーバーとして出席しました(2012年1月21日)


■イリオモテヤマネコ分科会とは?

 イリオモテヤマネコ分科会は、正式には「野生生物保護対策検討会 イリオモテヤマネコ保護増殖分科会」といいます。種の保存法という法律で「保護増殖事業」が行なわれることになっている希少種(イリオモテヤマネコもそのひとつ)について、事業の実施状況を確認し、今後の実施を議論する場で、年1回開催されます。
 分科会には、専門家からなる委員と、環境省がオブザーバーに指定した関係行政機関や民間団体も出席します。分科会の座長は、JTEFが支援する「イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員会」の委員長でもある土肥昭夫さん(元長崎大学教授)です。
 JTEFイリオモテヤマネコ保護基金から見ると、分科会は、この1年間にヤマネコの保全をめぐって起きたできごとを把握する上で重要な機会です。 そこで、2009年度(平成21年度)から傍聴するようにしていましたが、今回は正式なオブザーバーとして分科会に招かれ、やまねこパトロールの報告を行ないました。(2012年1月21日、竹富町離島振興総合センター(西表島))

竹富町離島振興総合センター←竹富町離島振興総合センター


■環境省からの報告事項の中で注目すべき点

①2010年に続いて、親離れした仔ネコや、定住していない=行動圏(なわばり)を持たない放浪ネコが路上に頻繁に出現しました。 仔ネコも放浪ネコも、いわば「弱い」個体です。

・2011年は、路上での目撃数のうち、特定個体による繰り返し出現の割合が高い。これは、2010年からの傾向。特定個体の出現を除くと、目撃数は2007~2009年と変わらない(それ以前はずっと少なかった)。
・2011年は、繰り返し出現した特定個体のうち(2010年よりも)仔ネコの割合が高い。
・2011年は、(2010年に続いて)行動圏(なわばり)を持たない「放浪」ネコの路上出現が多かった。

②これまでになく、オスが定住メスの行動圏に集中しました。

・オスネコは、1頭ないし2頭のメスネコの行動圏を囲むようにして行動圏を作ります。その際、2頭のオスネコが争うことはよくありますが、2011年には、メスの争奪戦に、放浪ネコだったものも含め3頭のオスネコが相次いで参入している場所もありました(継続中)。

イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員会←中央が座長の土肥昭夫さん(元長崎大学教授、イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員会委員長)


■このような現象が何を意味するのでしょうか。

 イリオモテヤマネコ生息地の環境変化の可能性が心配されています。環境変化の原因としては、度重なる台風による林内の乾燥化や道路拡幅による道路周辺環境の変化、人間による土地利用の変化が考えられるということです。
 この点については、委員から、「この結果を受けて、環境変化の状況ヤマネコへの影響についてモニタリング強化策を検討すべきだ」という意見が出されました。しかし、どのような対応がなされるかは今のところ不透明です。
 継続的なモニタリング(監視)の最大の意義は、変化の兆候を早期に把握し、対策への着手を可能にすることにあります。気づいたのに何もできないのでは意味が無くなってしまいます。今後の環境省の対応に注目したいと思います。

■交通事故対策もいっそう重要に

 仔ネコや放浪ネコの交通事故の危険が高まっています。また、ヤマネコは2月3月が交尾期になりますが、メスをめぐって激しく争うオスネコが路上に出てくる危険もあります。やまねこパトロールもまったく気が抜けない状況です。

■JTEFによるやまねこパトロールの報告

イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員

>報告内容は、スライドをご覧下さい。




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