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イリオモテヤマネコに関する提言を2件提出しました

2013年1月8日、二つの提言書を提出しました。現在西表島では、イリオモテヤマネコの生息地に影響のある土地利用計画が2つ進行中です。
1つは、後良川水源地開発です。竹富町が、飲料水用水源地を追加確保するため、後良川上流に堰を設ける構想です。工事車両を上流部まで運ぶためにイリオモテヤマネコの良好な生息地である森が切り開かれることなどが懸念されています。
西表島に希少なイリオモテヤマネコを始めとする多様な動物たちが生息しているのは、いくつもの滝や60もの川が流れ込む豊かな水環境のおかげです。西表島は島内だけでなく、近くの小浜島、黒島、新城島、鳩間島へも海底を通して水を供給しています。そこで西表島の水源池をさらに増やし、波照間島や竹富島にも飲料水を供給すべきかどうかがたびたび議論されてきました。
一昨年(2011年)、西表島の後良(シーラ)川に新たな水源池を開発するという計画がおこりました。
現在、竹富島だけは石垣島からの水の供給を受けています。しかし、石垣島内でも水の確保には余裕が無い状態である上、竹富島では大型リゾートが開業して水需要が増えました。石垣市長は人道上送水しているのだから、本来大型リゾートは想定していないと市議会で発言し、もめたこともあります。回の計画では小浜島を経由して竹富島へ送水することが構想されています(両島の海底には総延長18kmの送水管を設置することが必要)。また竹富町役場は石垣島(つまり竹富町内ではなく石垣市内)にありますが、将来、西表島に庁舎移転の計画がむかしからあります。そうなった場合の水需要増への対応が必要という意見もあります。
竹富町は1年かけて後良(シーラ)川の流量を観測し、1日当たり860トンの水量が確保できることを確認しました。そこで、2012年度取水施設の概略を設計するための予算組みも行いました。その結果も検討し、妥当だと判断されれば2015年度の工事発注にむけた作業を進める方針のようです(2012年5月1日付八重山毎日新聞)。
渓流から取水するため、水源池には取水施設が建設されます。後良(シーラ)川の流域にはイリオモテヤマネコが定住しています。取水施設が川に沿って建設されると、ヤマネコを中心に生態系への影響が心配されます。上流で堰建設のための工事が行われるとすると、そこまで重機を入れるためある程度の工事用道路が作られてしまい、森が切り開かれます。工事中の振動や騒音も問題となります。
イリオモテヤマネコが定住している後良(シーラ)川上流域【写真】2012年6月にJTEFが視察した後良(シーラ)川上流域






そこで、竹富町長宛に「西表東部簡易水道事業における後良川水源地開発について」とした提言書を申し入れました。JTEFと「イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員会」との連名です。提言書はこちら

2つめは、与那良原(ヨナラバル)土地改良事業です。もともと水田と牧草地からなる農地を区画整理し、農道を拡幅・舗装化するもので、2013年4月から設計に入る予定です。イリオモテヤマネコの放浪個体が一時滞在場所、餌場にしているので、そのような利用が継続できるよう、適切な配慮が求められています。
与那良原の土地改良予定地。イリオモテヤマネコが一時滞在に使うと考えらえる 【写真】与那良原の土地改良予定地。水田と牧草地(写真右側)の間を仕切るように海岸(写真奥)に向かう低木の茂みがあって、イリオモテヤマネコが一時滞在に使うと考えられる。



JTEFは「イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員会」と連名で、沖縄県八重山農林水産振興センターと竹富町に「与那良原地区県営経営体育成基盤整備事業について」とした提言書を申し入れました。提言書はこちら



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