シベリアトラが深刻な減少を示す

BBC News 2009年11月27日

9000平方マイル(23310平方キロ)にわたる監視区域内で研究者が見つけたトラは56頭。

調査によると、最後に残っているシベリアトラの生息数は大幅に減少した。
この調査は野生生物保護協会(WCS)が主導するシベリアトラ監視プログラムによって実施された。
その報告によると、トラの個体数は過去4年にわたって「減少傾向」にあり、最新の調査ではたった56頭が数えられただけだったという。

研究者は、このような減少の原因として密猟と生息地の破壊を挙げている。
シベリアトラ監視プログラムは、トラの生息域全体を網羅する16の監視区域で毎年トラの調査を行っている。これらの監視区域を合計すると、ロシアのトラ生息域のおよそ15%にあたる。
調査は毎年冬に行われ、雪の上に残された足跡から生息数が推定される。

科学者たちが指摘したように、昨冬の大雪によりトラの移動距離や活動が制限され、発見されにくくなった可能性は確かにある。
しかし、2005年には、生息域全体にはおよそ500頭のシベリアトラがいると見積もられていたのである。1940年代後半の30頭足らずという数字から、ここまで回復していたのである。

WCSのロシア極東地域プログラムに所属する研究者Dale Miquelle博士はいう。「この背筋の寒くなるような結果は、シベリアトラを保護するために現在行われている活動が十分でないことを示す警報です。良いニュースは、今すぐ行動を起こせばこの傾向を覆すことができると私たちが信じていることです」
ロシアの科学者と保護団体は今や、トラの保護に役立てるために、法執行規制の改正、生息地保護の強化、それに保護地域ネットワークの強化を推奨している。
(翻訳協力 木田直子)

【JTEFコメント】
頭数を推定するのは非常に難しいことです。足跡を見て個体識別するには相当な経験がないとできませんし、経験者でも雪の上や水場や岩の上などで同じ個体の足跡と見極められることは困難です。2005年のトラ個体数が500頭までいたのかという疑問はありますが、生息地が年々激減しているなか、トラ個体数が減ってしまっていても当然です。今、やらなければならないことは、生息地の確保と密猟防止対策です。