インド国内における組織的なトラの密猟横行を示唆―ラメシュ大臣

Hindustan Times Nihi Sharma、Dehradun 2010年1月11日

 インドのジェイラム ラメシュ環境・森林大臣は1月10日、国内において組織的な密猟犯罪組織が勢力を拡大していることを認め、トラの保護には地域社会の協力が不可欠であると述べた。

 組織的な密猟ネットワークは、トラの密猟の「根本的原因」であり、「ウッタラカンド州だけではない」と、ラメシュ大臣は語った。大臣は、式典に出席するため、州都に滞在していた。「インド全土における2009年のトラの死亡数は異常なもので、平均を2割上回っていた」と、大臣は述べている。

 インド政府国家トラ保護機関(NTCA)およびインド野生生物保護協会(WPSI)によると、2009年には86頭のトラの死が報告されているという。

 公式記録によると、ウッタラカンド州では、2009年に11頭のトラが殺されており、州における最悪のトラ死亡数となった。インドでは、2010年の最初の6日間だけで、ウッタラカンド州のトラ1頭を含む3頭のトラの死が報告されている。ウッタラカンド州では1月5日、コルベット国立公園内のディカラ地区において6歳のトラの死体が発見された。

 ラメシュ大臣は、国立公園の入場料を値上げし、その収益を地域に役立てることを提案したと語った。

 大臣によると、トラ保護の権限を持つ「森林部族社会保護協同組合(Van Gujjar Social Protection Corps)」がウッタラカンド州で立ち上げられる予定であり、ウッタラカンド州は「オリッサ州など他の州と比較すれば」トラ保護に熱心に取り組んでいると語った。

 ラメシュ大臣は、インドの37のトラ保護区のうち17がトラの個体数減少の危機にあると認めた。

「2010年は中国暦で寅年にあたるため、トラの保護には一層困難な年になる可能性がある。中国ではトラの部位の需要が高まるだろう」と、大臣は指摘した。

(翻訳協力:梅村佳美 木田直子)

【JTEFのコメント】
インド政府の重要な政策で、その立案と実施を担うのが国家トラ保護機関(National Tiger Conservation Authority)です。しかし、保護政策の要となるトラ保護区の管理は州政府の森林局が担っています。トラの数が多いコルベットを擁し保護に熱心に取り組む姿勢を見せるウッタラカンド州でも12年に1度の寅年を前に、ベンガルトラの殺戮が広まっています。
今、密猟防止パトロール強化を徹底しなければトラは地球上から消え去ってしまいます。