インドネシア、ペットのトラ5頭を押収

Fidelis E. Satriastanti 2010年2月5日

 インドネシア政府高官は2月5日、森林省がジャカルタ郊外の民家で20年近く飼育されていたトラ5頭を押収したと発表した。

「住民からの情報により、大人のトラ2頭と子どものトラ3頭の計5頭が飼育されていることを突き止めた」と、同省森林保護担当官のアウリヤ・イブラヒム氏(Awriya Ibrahim)は述べた。「残念ながら、さらにDNA鑑定を行って、これらの押収したトラの種を特定する必要がある。種がそれぞれ異なっていれば、別々の取引によるものだからだ」

 同氏の説明によると、絶滅危惧種のスマトラトラはインドネシアの保護法によって保護されているが、ベンガルトラには国際法(ワシントン条約)の下での取り組みが必要だという。

 種にかかわらず、許可なく野生動物を所有することは違法だと同氏は付け加えた。

 押収されたトラの所有者とされるクスバヌ・ハディスマルト氏(Kusbanu Hadismarto)は、地元報道関係者に対し、飼っていたのはベンガルトラで、タンゲラン県レンポアにある自宅で飼育するため、1990年代に野生動物公園のタマン・サファリ(Taman Safari)から手に入れたと語った。

 ベンガルトラはトラの中では最も個体数が多いが、それでも絶滅の危機に瀕している。野生生物保護組織である世界自然保護基金(WWF:World Wide Fund for Nature)の推計によると、野生のベンガルトラの個体数は1850頭である。トラは、生息地の減少や密猟により、世界中で絶滅の危機にさらされている。

 押収されたトラは、政府が飼育環境を整えるまで、クスバヌ氏のところに「宿泊する」ことになるだろうとアウリヤ氏は述べた。

 クスバヌ氏は、インドネシアの女優、ユニク・プリシラさん(Unique Priscilla)の父親である。
(翻訳協力 梅村佳美)

【JTEFのコメント】
 インドネシアだけでなくアメリカでもトラを個人でペットとして飼育している人が多いのですが、トラは絶滅危惧種の野生動物です。自己満足にトラをペットとみなすのではなく、地球の宝物として野生の姿を愛すべきです。