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気候の変化のためにゴリラとトラが絶滅の危機に

ロイター、2011年12月4日

 絶滅危惧種の動物の生息地における気候の変化や極端な天候の影響に取り組まなければ、ルワンダのゴリラやバングラデシュのトラを含む数種類の動物が絶滅の危機にさらされるかもしれない、と国連の報告書は明らかにした。
 国際気候交渉の副次的な活動がダーバンで開始され、国連食糧農業機構の報告書は、海水面の上昇、森林伐採、過剰な土地利用のために、ある種の生息地がとりわけアフリカで被害を受けていることを明らかにした。
 「多くの生態系が、人口の増加や、歴史的なそして最近の森林伐採、持続不可能な取扱慣行、そしてさらに侵略的外来種によりストレスを受けている。」とエデュアルド・ロジャ・ブリアル食糧農業機構・森林部門の副総裁は報告書を発表するにあたり述べた。
 最も影響を受けている地域には、山脈や孤島そして沿岸地域が含まれるが、いずれも動物がどこかへ移動したり新しい生息地を創る可能性を制限している。
 「残りの個体数は大変小さな生態系の中に閉じ込められるようになっており、近親交配の問題を抱えている。そしてついにこうした種は絶滅してしまうのかもしれない。」と付け加えた。

 野生生物の移動もまた、バングラデシュのトラに起きたように、人間とのトラブルにつながるようである、とロジャ・ブリアルは述べた。
 「家畜そして人間でさえ野生生物に攻撃され、それにもちろん地元の住民による野生生物への報復もあり、この種を保護することにより成し遂げられる成功は、現在、生息地の悪化により逆行している。」と述べた。
 影響を受けた動物の他の例には、マリのゾウ、セレンゲティのライオン、そしてマラウィのワニがいる。

 当報告書は、動植物種のうち推定20-30%が地球温暖化のために絶滅の危機が高まり、固有種のうちかなりの割合が結果として2050年までに絶滅することになるかもしれないと述べた。 他の結果には、侵略的外来種や伝染病の蔓延が含まれうると報告書は述べた。
 当報告書は、損害を受けた生態系―とりわけマングローブや内陸の河川や湖、森林、サバンナ、それに草地のような気候の変化に取り組むべき主要な生態系の復元にもっと集中するよう促している。
 食糧農業機構もまた、移動が束縛されている地域の動物が移動するためのコリドー(野生動物が生息地間を移動するために回廊のように利用する土地)の創設を呼びかけた。当機構は、より多くの資金が生物多様性の保護へ流れている一方で、もっと政府や政策レベルにおける行動が必要であると述べた。
   また、エコ・ツーリズム活動の名前を例にあげたりして、野生生物に対する気候の変化の影響を緩和するプロジェクトを開発することを地域社会に要求した。
(翻訳協力 日原直子)

【JTEFのコメント 2012年2月】
 インドとバングラデシュにまたがるスンダバンスは、トラの生息地として特有のマングローブ林で多くのトラが生息しています。トラは泳いで島に移動していますが、温暖化の影響で水位が上がり、人とトラの生息地域が限られてきていることで、人とトラとのトラブルも以前より増しています。温暖化は人間だけでなく多くの野生動物たちに影響を与え、その結果、人間にも悪影響を及ぼすという負の連鎖になることを、それを引き起こしている人間がもっと自覚し早く行動に起こさないことには、動物だけでなく人間も滅びてしまいます。


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