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ケニアらが、2010年3月のワシントン条約会議で象牙取引凍結強化の提案

RadioVop、2009年11月26日

 ジンバブエは2028年までに在庫象牙26トンの売却を計画しているが、2010年3月にカタールのドーハで開催される次回のワシントン条約締結国会議で、ケニアが南部アフリカ諸国における在庫象牙の取引禁止を提案することが明らかとなり、ジンバブエの売却計画が阻止される可能性が出てきた。

 RadioVopが入手した情報によると、ワシントン条約の有力な締約国であるケニアが行ったこの提案は、ガーナ、リベリア、マリ、トーゴ、コンゴ、ルワンダからも支持されており、現在の9年間の取引禁止をさらに10年間延長するというものである。 一方のジンバブエは、南部アフリカ開発共同体(SADC)メンバーであるザンビア、ナミビア、ボツワナ、南アフリカから支持を受けているが、ワシントン条約締結国会議で象牙取引禁止の延長が決定されれば、影響は免れない。

 ワシントン条約締結国会議の規則では、締結国の提案に対する決議には3分の2以上の国の合意が必要となる。 ジンバブエ公園・野生生物管理庁長官のモリス・マサンビア氏によると、ケニアによる提案は、前回ハーグで開催された締結国会議の精神に反するものであり、ジンバブエはこの提案に対抗し阻止する意向であるという。同会議において、ケニアを含めたアフリカ諸国は、アフリカ大陸に生息するゾウの管理に向け、管理戦略を策定し、基金を設立することで合意している。

 「ケニアが取引禁止の延長を提案するというこの問題は、事態を混乱させている。前回のワシントン条約締結国会議では、アフリカ諸国がゾウを管理する戦略と行動計画を取りまとめ、戦略実行のための基金を設立することで合意に達している」と、マサンビア氏は述べた。「地域の一員として、ジンバブエはケニアの提案に対し、異を唱える意向だ。この提案は事態を混乱させるだけで、直面している実際のゾウの管理問題に目を向けていない。こうした問題にこそ、取り組まなくてはならないのだ」

 ここ数年、密猟が増加している影響で、ジンバブエの象牙取引に対する国際的なイメージは悪くなっている。2009年は10月までですでに65頭のゾウと30頭のサイの命が密猟で失われている。

 最近の密猟増加の背後で権力を持つ存在として、複数の政府高官がメディアで名指しされている。同様に、大部分の密猟はロバート・ムガベ大統領政権下で行われており、こうした高官らが、大統領の側近に対して狩猟許可を与える見返りに不正報酬を受け取ったとする疑惑も浮上している。 ジンバブエには現在、26トンの象牙と4トンのサイの角が在庫として保管されている。
(翻訳協力 梅村佳美)

【JTEFのコメント】

 2007年のハーグ(オランダ)で開催されたワシントン条約第14回締約国会議における今後の象牙取引に関する決定があり、その際認められた1回限りの象牙取引が2008年11月に実施されました。輸入国は中国と日本です。その直後から象牙密輸が急増しました。これは1994-1995年から起きた急増以来の深刻な事態です。
 この事態に対応して、2007年の決定を改め、より厳しい意思決定を求めていくのは当然のことといえます。2009年にドーハ(カタール)で開催される第15回締約国会議に向けてケニアと西・中央アフリカ諸国が提案している象牙取引凍結強化。
 JTEFはこの提案を強く支持します。


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