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地域住民のためのプロジェクトの実態暴露でNGOに追放危機

フォーチュン・モヨ、2011年02月03日

 ブラワヨ(ジンバブエ)の非営利団体(NGO)ハバクク・トラスト(Habakkuk Trust)は会合で固有資源のための共有地管理(Campfire:キャンプファイヤー)プログラムからの利益配分に異常があったと発表して以降、タショロトショ地区から追放すると脅迫を受けている。

 2週間前、タショロトショ地区の住民は役場近くで開かれた会合で、地域経済の活性化に失敗したとしてキャンプファイヤーを厳しく批判した。キャンプファイヤーとは地域社会で自然資源、とりわけ野生生物の管理を発展させるために考案された地域密着型の自然資源管理プログラムだ。会合の直後、地方自治体に対し地域社会を扇動したとしてタショロトショの地方自治体のンクルレコ・シバンダ(Nkululeko Sibanda)長官がNGOを追放すると脅迫したとされている。

 NGOのドゥミサミ・ンコモ(Dumisani Nkomo)代表はこの件について認め、地域からの追放の動きに抵抗すると言明した。

「タショロトショ地区から追放するとシバンダ氏に脅迫を受けた。しかし我々を追放する権利など誰にもない。組織として自然資源による地域の繁栄を望んでいるが、タショロトショ地区のキャンプファイヤープログラムの現状はそうなっていない」と同氏は語った。

 「会合ではキャンプファイヤープロジェクトの悪しき実情が数多く明かされた」

 彼によれば地域は自分達の土地の資源を売って得た利益の配分に不満を持っている。「委員会はそのことに脅威を感じ、我々を追放すると脅すようになった」とンコモ代表は話した。シバンダ氏は問い合わせに対しこう話した:「委員会の広報担当ではないため質問に回答する立場にない。一番良いのは代表者に聞くことだ。」
(翻訳協力 秋谷亜希子)

【JTEFのコメント 2011年2月】
 ジンバブエのCAMPFIREは、野生動物を地域で管理し、そこから得られる収入を地域コミュニティーに還元する(学校、公民館を建てる、住民に現金を配当する)という、住民の自立的プロジェクトとして1990年代に始まったものです。
一般論としては、地域開発のあり方としても、また自然保護のあり方としても示唆に富む面もありました。ただし、それを目的どおり、公正、公平に実行するのが現実的にどれほど難しいかは言うまでもありません。
 さらに問題なのは、このプログラムの存在が象牙取引を再開するための「道具」に使われてきた点です。1997年のワシントン条約COP10で、ジンバブエのアフリカゾウを附属書Ⅰから附属書Ⅱに格下げし、日本への象牙輸出(1回限り)が認められた際、象牙取引の利益がゾウの保全と地域コミュニティーに還元されるという条件が付けられていました。「ジンバブエにはCAMPFIREがあり、象牙取引の収益はきちんと管理され、貧しい地域に還元される。だから、象牙取引を認めるべきだ」という主張が展開されたのです。
 今回の報道は、CAMPFIREの実態の一部をうかがわせる興味深いものといえます。
 コミュニティー・プロジェクトは、人と野生生物との共存のために重要な意味をもっており、JTEFもインドで取組みを始めています。しかし、第三世界の中でもいわゆる辺境に属する地域で行なう自立的プロジェクトに、「政治色を帯びている国際取引の対価」を組み込み、管理させることは不適切ですし、不可能です。そのようなやり方は、野生動物の犠牲と、地域住民の「看板」としての利用のもとに、腐敗した政治家・官僚の懐を肥やすことにつながりかねない危険をはらんでいます。

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