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ゾウのニュース & JTEFのコメント

日本最大の象牙業者逮捕!

2011年05月13日

 2011年5月11日、大阪市天王寺区烏ケ辻2、象牙加工販売会社「タカイチ」元会長で日本象牙美術工芸組合連合会元会長の高市影夫(79)と長男で同社社長の雅也(49)の両容疑者ら男4人が、種の保存法違反(譲り渡し)容疑で、警視庁に逮捕されました。
 逮捕の容疑は2010年3~6月の間に計10回、茨城県の古物商らから国に無登録の象牙計21本を計約500万で購入したというものです。  なお、会社(タカイチ)からは、無登録の象牙計68本が押収されています。
(5月11日から12日にかけての、毎日新聞、産経新聞、時事通信の配信によるネット・ニュース、NHKはじめ各テレビ局のニュースより)

【JTEFのコメント】
 ワシントン条約は、1989年に象牙の国際取引禁止を決定、1990年以来、禁止は継続しています。
 しかし、日本の象牙業界は、取引禁止直後から政府に再開を熱望してきました。 政府もこれに応えて象牙取引再開を政府方針とし、「日本は象牙流通を適正に管理する能力が高い国だ」と国際社会に理解してもらうための取組みを推進します。その成果が、経済産業省と環境省が「日本象牙美術工芸組合連合会」を中心とする業界と協力して作り上げた、種の保存法による象牙の国内取引管理の仕組みでした。
 ゾウ保護基金は、「種の保存法の仕組みは業界に配慮して強い規制を避けたものだ、その結果抜け穴が多く業界の『順法精神』にすがるしかないものになってしまった」と批判してきました。
 しかし、象牙取引再開を目指す日本政府のロビー活動により、ワシントン条約の場で、日本は適切に象牙の国内取引管理を行なっている輸入国だと認められ、1999年に50トン、2009年に39トンの未加工象牙を日本の象牙業者が例外的に許されてきました。勿論、タカイチも輸入した業者の1つです。 今回逮捕されたタカイチの元会長(父親)は、「日本象牙美術工芸組合連合会」の元会長というだけでなく、象牙取引禁止前には日本でもっとも大量の象牙を輸入してきた人物であり、その後も日本最大の在庫を確保する象牙業界最大の実力者といわれています。その本人と後継者の息子の「種の保存法違反」による逮捕劇は何を物語っているのでしょうか。
 ゾウ保護基金は、警察による徹底した捜査による余罪を含めた全容解明はもちろん、日本国内の象牙取引管理を根本から見直すべきことを、関係機関に求めていきます。
  
参考写真:タカイチによる小売店向けの象牙印材販売(2003年)


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