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ケニアで象牙押収

ギトンガ・マレテ、ボゾ・ジェン ジェ記、2011年12月03日

ケニア:1億5千万ケニアシリング相当の象牙が港で押収される

 ナイロビ―ケニア野生生物公社(KWS)は、極東に向けて輸出されようとしていた1億5千8百万ケニアシリング相当(1,767,361.65ドル相当)の大量の象牙の輸送品をモンバサ港で押収した。象牙465本は、60個の厳重に梱包された段ボール箱と8つの木箱に詰められていた。
 この押収は、重さ600㎏以上の象牙87本が押収されたたった二か月後に起こったため、この通行量の多い港が違法な象牙取引の通過点になっているのではないかという懸念を引き起こした。

 土曜日にジャーナリストに話した、KWSの所長のアーサー・チューダ氏は、象牙の出所はすぐには確立できないと述べた。「このディーラーは、輸送品をウガンダ、タンザニア、そしておそらくジンバブエのさまざまな場所から集めており、それをその後輸出のためにナイロビで梱包した。」と彼は述べた。
 輸送物は9月28日にナイロビからモンバサに到着したと、ケニア歳入庁の職員は述べた。チューダ氏によると、懸案の荷物が押収される前、KWSはこの荷物を3週間にわたり追跡していた。
 「我々の調査員がこの輸送品について警告した後、KWSはケニア歳入庁関税局長官に、輸送品の中身を証明する完全な検査を求めるよう書面で求めた。」とチューダ氏は述べた。

 荷物の書類を処理した代理会社である、カルベンス・コンベイヤーズ・リミテッドは、象牙をせっけん石手工芸品とし、カンボジア行と申告していたと、ケニア歳入庁の市場取引と広報の責任者である、ケネディー・オニョニ氏は述べた。
 「懸案の輸送物は中身を確認するために抽出検査され、その結果が明らかになったところで、すべてのコンテナの検査がなされた。」と述べ、その代理会社は、直ちに、調査が行われるまで操業停止となったと付け加えた。
 KWSは警察の助けを借り、最後の重量の確認のために沿岸KWS本部へ移送されるのを待つ間、荷物を港の警察の詰所に留置した。

 6月には、キバキ大統領が、マラウイ、タンザニア、そしてザンビアから密輸され10年以上前にシンガポールで押収された、5000キロ近くある貯蔵されていた象牙を焼却した。この焼却は、ルサカ合意特別対策本部のもとマラウイ、タンザニア、そしてケニアがルサカ合意に従うものである。
 この特別対策チームは、野生生物の密輸に対処するアフリカの司法当局を助ける目的で作られた1992年のルサカ合意の施行を担当している。
 アフリカには、472,269頭以上の野生のゾウがいるが、彼らの生存は密猟とハンティングのトロフィー(戦利品)の違法な取引によって脅かされている。
(翻訳協力 瀧口暁子)

【JTEFのコメント】

 アフリカ象の密猟と象牙の違法取引が、1989年の象牙取引禁止以来かつてないほど深刻化しています。
 最大の原因は、中国の経済成長により、象牙需要が劇的に拡大したことでしょう。「象牙の合法的なマーケットをきちんと保護して、違法取引は排除する。」この考え方が、現実の前にいかに無力であるかは明白です。1989年に一度は閉じられた象牙マーケットは、巨大な需要によって完全な復活を遂げつつあります。

 マーケットを完全に閉じておけば、象牙の「儲かる商品」というイメージが20年の時の流れの中で相当風化していたかも知れません。そうさせなかったのは、象牙マーケットの「棺」に隙間を入れ、象牙マーケットの延命をはかってきた者たちです。その中心が、日本政府であり、日本の象牙業界でした。日本の象牙業界は衰退しつつあり、現在では象牙の密猟や違法取引に対する影響は中国ほどではないと思われます。しかし、1989年の象牙取引禁止以来、ワシントン条約の場で象牙取引再開を叫びつつけ、1999年に唯一象牙の合法な輸入を成し遂げ、「活かし続けた」象牙マーケットの貴賓席を「巨人」と化した中国にいわば「引き継いだ」のです。今後は、中国につかず離れずの姿勢で、象牙取引の利益に預かっていこうという方針でしょう。現在の事態に対する日本の責任は非常に重いといえます。


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