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環境省主催の委員会で、クマの保全の観点から意見
-環境省は、鳥獣保護法に基づく「基本指針」改定で、クマの大量捕殺問題に対処しないのか?-

 鳥獣の保護を図るための事業を実施するための「基本指針」は、鳥獣保護法に基づき、環境大臣が作成するもので、鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項や、都道府県が作成する鳥獣保護事業計画に関する事項を定めています。

 鳥獣保護法は、正式名称を「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」というとおり、鳥獣を保護しつつ農林水産業に対する被害を抑えることと、狩猟の適正な管理を行うための法律です。鳥獣保護法の課題として自然保護NGOが長年にわたって論争してきたことを一言で述べれば、「鳥獣の駆除一辺倒でその目的を果たせるのか」ということになるでしょう。個体数が減りつつある地域的なグループについては、駆除数を減らすことは当然として、生息環境の保全や被害自体を発生させないための予防策(緩衝地帯の構築や作物栽培方法の再検討など)が重要ではないのかということです。また、個体数や分布が拡大している種についても、駆除に過度に依存してよいのか(どの程度の抑制効果があるのか、狩猟者が激減している中で駆除を被害抑制の柱にし続けられるのか等)が問われてきました。

 環境省は、この基本指針の改定(第11次)について、2010年10月に中央環境審議会野生生物部会に諮問、同部会の下に設置された鳥獣保護管理小委員会で検討が進めていますが、今回の「基本指針」の改定にあたって、上記の課題にどれだけ踏み込めるかが問題です。

 JETFを含め、鳥獣保護法の問題に長年取り組んできた自然保護NGOは、この点に大きな疑問を感じています。しかし、近年のツキノワグマによる人身事故の多発・クマの大量捕殺の繰り返しは、上記の課題に今こそ踏み込むべきことを雄弁に物語っているのではないでしょうか。

 2010年12月22日には、この小委員会による関係者ヒアリングで、JTEFが参加している「CBD市民ネット生物多様性関連法制度部会」のメンバーが意見を述べました。
◆こちらをご覧ください

 JETFは、「特にツキノワグマの保全にかかわる点について」として、事務局長の坂元が意見を述べています。

鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」の見直しに対する意見 ―特にツキノワグマの保全にかかわる点について―(PDF)
参考:人と野生生物の間のトラブル(あつれき)について考えたい方へ
記者発表資料(PDF)


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