イリオモテヤマネコの発見と戸川幸夫

イリオモテヤマネコの発見と戸川幸夫

1965年に動物作家の故戸川幸夫(JTEF理事長戸川久美の父)は、取材で訪れていた沖縄で西表島には野生のネコがいるらしいという話を聞き、飼いネコの野生化したものだろうと思いつつも、西表島で聞き取り調査を始めました。すると島民の多くが知っていて、彼らが話す特徴が皆同じだったため、本物の野生のネコではないかとヤマネコ探しに夢中になりました。戸川は東部でも西部でも多くの島民の手助けを得て、ヤマネコの聞き取り調査を行いました。そんな島民のおかげで、1つの頭蓋骨と毛皮を手に入れ東京に持ち帰り、動物学者の今泉吉典博士に相談しました。すぐに日本哺乳動物学会(現:日本哺乳類学会)の緊急例会が開かれ、「これまでに知られていない野生種である」と認められたことが同年の全国紙で報道され、67年には新属新種として記載されました(のちにベンガルヤマネコの亜種とする見解が主流となった)。その後、68年3月に捕獲された2頭のイリオモテヤマネコが、国の委託で2年半ほど東京の戸川宅で飼われ、その後無事に国立科学博物館へ移りました。戸川のイリオモテヤマネコの保護への願いは二女久美が継ぎ、JTEF理事長としてその活動に献身しています。

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