threat_tiger_2025
トラー危機と保全の動きの今
2025
トラの飼育施設からの違法取引
アジアにしか生息していない野生のトラ。繁殖可能な成獣の数は、2022年に発表されたIUCNのレッドリストによると、アジア全体で3140頭〈2608~3905頭〉です。問題は生息国による各国のトラ個体数の差です。ラオス、ベトナム、カンボジアは絶滅、中国は20頭、マレーシアは100頭未満。個体数減少は生息地破壊だけでなく、密猟もまだ続いています。
虎骨を使った漢方薬の需要は依然として深刻な脅威となっています。EIA(Environmental Investigation Agency)が中国の裁判記録等を調査したところ(2025年2月のワシントン条約会議常設委員会に向けて公表)によると、中国では国内の許可を受けた飼育施設やサーカス等からの違法な供給も発生しています。
漁業関係者の密輸への関与の実態
2025年1月29日には、あるNGOと研究機関のチームが、野生生物取引の流通網や船舶運営に関与する50人以上の密猟者、運び屋、仲介業者、取引業者への長期間のインタビューに基づく調査報告を発表しました。そこでは、漁業関係者が、マレーシアで森林に生息する野生動物を狙うベトナム人密猟者とベトナム国内の闇市場を結ぶ「パイプライン」の役割を果たしていることが示されています。関与者らの船が海上で落合い、海上警備を回避しつつ、補給や商品の積み下ろしをしていました。この研究によると野生生物製品はしばしば魚やそれを保存するための氷の下など当局がめったに検査しない場所に隠ぺいされていたとのことです。インタビューによれば、マレーシアに短期間の密猟遠征をおこなう借金を抱えたプロのベトナム人密猟者たちが、借金を返済するために何度も森林へ密猟に向かわざるを得ない状況も浮き彫りになりました。
世界的に見ても、漁船の監視や規制は非常に弱体で、違法・無許可・無報告の漁業が世界の漁業セクターの30%を占めると推定されています。規則を破ることによる金銭的な見返りは非常に大きい一方で、摘発や制裁を受けるリスクは比較的低いのが実態だといわれます。法と取締りの網の目を潜り抜けるために流通経路開発に工夫をこらす密猟者たち。これに協力に対抗する姿勢が各国政府に問われます。



