プレスリリース:東京都の象牙取引規制に関する有識者会議は失敗に終わるおそれ 知事に対する提言を出せない見通し

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2020年1月、小池百合子東京都知事のリーダーシップによって開始され、今年度(2022年3月末)での終了が予定されている「象牙取引規制に関する有識者会議」が知事に対する「提言」とりまとめを断念する危機に直面しています。これは、東京都事務局(政策企画局)およびその意向を踏まえた有識者会議座長による不適切な議事進行によるものです。

そこで本日(2022年2月9日)、内外9つの環境保護/野生生物保護団体(米国、英国、スイス、日本)が、小池都知事に対し、提言とりまとめに向けて適切に対応するよう政策企画局および有識者会議座長に求めていただくことを要請する書簡を送付しました

 問題の報告書案骨子案(当初から、有識者会議としての提言の項目があげられておらず、委員個人の意見を羅列するだけの想定となっている)が議論されたのは1月27日の第6回会合(画像中継あり)です。

多数意見が、有識者会議は、「条例による象牙取引規制を検討する(その具体的な内容は、今後の詳細な検討に委ねる)」という提言を報告書に含めなければならないと指摘しているにもかかわらず、事務局と座長は、反対(少数)意見があり、形式的な全員一致がない以上は有識者会議としての提言はできないとの立場です。

ここでいう反対意見というのは、日本の象牙取引が大きな問題ではないということのほか、法的拘束力のある措置への一般的な拒否感、他の象牙消費国における先例の軽視、および(近い将来にはおよそ起こり得ない)象牙の国際取引の再開に対する主観的な願望にもとづくものに過ぎません

それにもかかわらず形式的な全員一致がない限りは前に進まないということになれば、事実上、東京は現状維持を選ぶよう提言したのと変わりません。これは、東京都独自の対策を視野に、それに関する専門家の知恵を求めた知事のイニシアチブを失敗に終わらせることを意味します

JTEFを含む9つの団体は、3月開催が予定される有識者会議第7回会合(最終回)では、この会議の名称にあるとおり「象牙取引規制に関する」提言が報告書に盛り込まれることとなるよう、期待しているところです。