ブログ:2020年世界ゾウの日に世界的な連鎖:東京そして日本の象牙市場閉鎖を求める声

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8月12日の「世界ゾウの日」は、野生動物の世界的なアイコンであるゾウとその保護に祝福を送る日です。

しかし、ハンコを含め象牙が必須とは言えない製品の素材とするために年数万頭のゾウが今も殺され、特にアフリカの地域のいくつかではゾウの個体群が完全に消滅するおそれも生じています。象牙市場の存在は、ゾウにとって脅威であり続けています。そこで、米国、中国、英国その他の国々は、その象牙市場を閉鎖し、象牙の消費はもはや許されがたいものであること、法執行を効果的に行うためにも取引禁止が必要だというメッセージを世界に発してきました。  

ところが、日本では、楽天、イオン、メルカリ、イトーヨーカドー、ヤフー等の大手小売りが象牙から撤退する一方で、政策的に、オープンな象牙市場が維持されています。

今年の「世界ゾウの日」を迎えるにあたり、日本にとってトピックとなるのは、この1か月ほどの間に、ゾウの密猟防止に取り組むアフリカから、小池百合子東京都知事に対して、国に先んじて都内の象牙取引を禁止すること、全国レベルでの象牙市場の閉鎖を都から国に要望するよう求めるメッセージが寄せられていることです。

日本政府が国内象牙市場の維持に固執する一方、東京都は東京都内の象牙取引の実態を把握し、その取引に対する対応策を検討することとしています。今年1月28日に8人の専門家が、東京都の委員会に集いましたが、その後は新型コロナウイルス禍のため、進展がありません。

  • アフリカゾウ連合(AEC)は、2008年のマリ共和国会合において正式に設立された後に発展を遂げ、東アフリカ、西アフリカおよび中央アフリカの30以上の国で構成されています。AEC諸国は、2016年のワシントン条約CoP17に、世界の国内象牙市場閉鎖決議を提案し(採択)、2019年のCoP18では決議を遵守していない日本とEUを名指ししてその市場の閉鎖を求めました。
  • セーブ・ジ・エレファント(STE)は、その創設者であるイアン・ダグラス・ハミルトン博士から小池知事への書簡を紹介しつつ、本日プレスリリースを行いました。1980年代に日本の象牙需要が主な理由となってアフリカゾウが半減しましたが、1979年時点のアフリカゾウの個体数を推定したのがこのハミルトン博士でした。STEは世界をリードする科学的知見と長きにわたってゾウと共存してきたアフリカの文化に対する深い知見を組み合わせてアフリカゾウの保護に献身しています

 これらアフリカからの声に加え、ワシントン条約における象牙政策形成の第一線に立ってきた専門家からの書簡も送られています。

  • 現在、米国の動物園水族館協会(AZA)の会長を務めるダン・アッシュ氏は、2011年から2017年まで、米国魚類野生生物局(USFWS)の局長を務め、2016年に施行された米国の国内象牙市場閉鎖、2016年のワシントン条約会議における国内象牙市場閉鎖決議の採択に当たって主導的な役割を果たしましたが、その経験を踏まえ、小池知事への助言と要望になっています。

これらの書簡は、今年3月30日に世界と日本の環境・野生生物保護団体から都知事へ送られた要請書に対して、世界のアフリカゾウ保護の当事者、専門家からどれほど広い支持があるかを物語っています。 なお、6月には、トラ・ゾウ保護基金、米国のEIAおよび HSIの3団体から、今後のウイズ・コロナの日常の定着を見越し、3月の要請文を踏まえた「象牙取引規制に関する有識者会議」の再開を求めています。

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