プレスリリース:東京都、象牙取引に対する短期的な 取組みでつまずく

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東京/ワシントンDC – 本日、東京都が象牙取引への取組みとして発表した対策は、好機を逃すものとなった。野生生物保護および環境保護団体は嘆息しきりである。東京都の象牙の違法取引に向けた短期的対策は、消費者の普及啓発だけに特化したものとなっている。期待された実のあるアクションへは程遠いばかりか、日本政府が過去に失敗してきた普及啓発の二番煎じとなっている。

東京都の普及啓発策は、象牙輸出が違法であることについて消費者を教育し、登録象牙業者には顧客へその点の注意喚起を行うよう勧めるものとなっている。こうした対策は、日本政府が既に3年以上にわたって実施してきているが、象牙の違法輸出をくい止めることができずにいる。加えて、オプションの対策として用意された「象牙製品等の取引確認書」は、顧客に輸出が違法であると理解したこと、購入した象牙を違法に海外へ持ち出さないことを確認させて署名を求めるものとなっている。これは単に、違法輸出が発覚した場合の責任を顧客へ押しつけ、業者が責任逃れをするための策に過ぎない。

「環境調査エージェンシー(EIA)」の上級政策アナリストであるエイミー・ゼツ・クロークは、次のように述べる。「東京におけるこれらの『新たな』対策は、日本全国で日常的に行われていることに過ぎず、例によって例のごとき弱い措置です。私たちの調査では、日本政府が実施中の普及啓発がいかに実効性がないかが既に明らかになっています。東京には、ベターなものが求められているのです。」

日本は、活発な国内象牙市場を擁するが、実効性のある規制とその執行を欠いており、長きにわたって象牙の違法取引と違法輸出を許してきた。例えばEIAは、日本から輸出された象牙が海外で押収された事例が2018年から2020年にかけて76件あったことを確認しているが、実際の規模はそれ以上であると考えられる。東京には日本の数千に及ぶ象牙取引施設の18%が集中している。

「ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル」の野生生物政策部長であるアイリス・ホは、次のように述べる。「東京都は、その環境に対する倫理的責任を果たすことを怠り続け、その結果都内における盛んな象牙取引を許す結果となっています。いかなる象牙の合法市場も違法象牙販売の便利な隠れ蓑となります。だからこそ、日本の国内象牙市場閉鎖は、野生動物保護のアイコンとなっているこの種を衰退させないための必須の措置となるのです。東京は海外からの訪問者に愛されているにもかかわらず、都政が象牙業者を優先し、観光客に象牙の違法輸出の責任を転嫁することを選んだことに大変失望しています。アフリカでは象牙を収穫するために25分ごとに1頭、ゾウが死んでいます。誤った政策と中途半端な対策を繰り返している場合ではありません。」

絶滅のおそれが「非常に高い」サバンナゾウおよび「極度に高い」マルミミゾウの2種が生息するアフリカの国々をはじめ、幾多の関係者が繰り返し東京都および日本政府に対して象牙市場の閉鎖を求めてきた。今年の初め、EIA, JTEF, HSIおよびその他の国際団体、国内団体は、オリンピック前、象牙取引禁止の実施前それぞれの段階で法的にとりうる緊急措置を、東京都に対して提言し、実施を求めていた。しかし、今般の東京都の対応は、この提言を無視するものとなった。「東京の行動には、これまでのところ非常に失望しています。しかし、私たちは東京の象牙市場を閉鎖に進むよう東京都に働きかけ続けます。中期的には、都内での象牙の販売・購入を控えさせるための公的な措置をとるよう求めます」とクロークは述べる。

「新型コロナウイルス蔓延により延期されている2020東京大会へは、観客の入場者数制限にもかかわらず数万人規模の競技者、その関係者、メディア、ボランティアが来日します。私たちは、大会組織委員会に対して、象牙製品を大会関係の贈答品としないことを公表するよう勧めています」クロークは付言する。

トラ・ゾウ保護基金事務局長の坂元雅行は、次のように述べる。「私たちはもちろん、東京都象牙取引規制有識者会議の複数のメンバーからも、大会開催前に『アイボリー・フリー』の国際都市たらんことを宣言するよう求められていたのに、その声に耳が傾けられなかったことに失望しています。東京都が実効力のあるアクションを起こすことが、日本政府に象牙市場閉鎖を通じてゾウの保護への責任を果たさせるための地ならしになるからです。オリンピック後は、東京都が今度こそ象牙市場閉鎖に照準を合わせた措置をとり、象牙の違法取引を事実上撲滅させることを望んでやみません」

  • 象牙取引規制に関する有識者会議は、8名の専門家からなる。2020年1月、東京都が東京における象牙取引と取引規制のあり方を検証し、東京都として象牙の違法取引と違法輸出に対してとりうる対策を検討することとされている。新型コロナウイルス蔓延により延期が繰り返されながら4回の会合がもたれ、委員からは、今回都が発表した弱い措置をはるかに凌駕する提言もなされていた。
  • 2020年12月、環境調査エージェンシー(EIA)とトラ・ゾウ保護基金は、ハンコ店の調査結果を報告書「違法な海外持出しに我関せず 象牙印を進んで販売するハンコ店:印章小売業者に対するスナップショット調査」にまとめた。そこでは、東京その他のエリアの多くのハンコ小売店が、顧客が海外へ持ち出すことを知りながら、しかもそのほとんどがその違法性を認識しながら、象牙を売ろうとしたことを暴き出されている。これは、日本政府による小売店および消費者に対する違法輸出に関する普及啓発キャンペーンが行われる中で同様の結果となった2018年調査の追跡調査である。
  • 2021年3月に公表されたワイルドエイド(WildAid)とトラ・ゾウ保護基金による報告書では、東京で象牙取引を行う中国人経営の会社2社が、輸出の違法性はもちろん、販売した象牙が海外へ持ち出されることを前提とした商売を行っていたことが明らかにされている。
  • 中国から日本へ旅行した422名の消費者を対象にして行われたWWFとGlobescanの調査によれば、観光目的の旅行者の52%が象牙を中国へ持ち帰ることが違法だと知っていた一方で、日本への旅行前に象牙の購入を計画していた者は全体の19%、日本を訪れた際に実際に象牙を購入したと推定される者は12%に達した。