プレスリリース:東京における象牙の合法販売が違法輸出をあおっている

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ワイルドエイドとトラ・ゾウ保護基金が新たな調査結果を公表

東京 – 2021326日 ワイルドエイドとトラ・ゾウ保護基金(JTEF)が本日公表する報告書は、  東京の象牙取引業者が、違法な輸出そのものには直接関与しないし、象牙に対する国内取引規制も遵守してはいるが、購入された象牙がその後輸出されて行くという想定のもと、中国人を顧客とする  ビジネスを行っている実態を明らかにしている。

「TOKYO象牙 海外注文承ります:止まらぬ象牙の違法輸出, その裏側に潜む実態に関する調査」は、2018年及び2019年に実施された、2つの中国人経営の会社に対する覆面調査の結果を記録したものである。最初の会社は、この店舗で象牙を買い付けた顧客が、中国の税関で象牙を発見され、  「10何人くらい刑務所に入っている」と語った。もう1つの業者は、自社工場に蓄える数万本の象牙  カット・ピースから中国人向け定番商品を製造し、さらには中国本土にいる顧客からの個別オーダーに応えて象牙製品を製造販売していた。

これらワイルドエイドとJTEFによる調査結果は、1970年以来25万頭分以上のアフリカゾウの象牙を輸入し (その著しい割合を密猟象牙が占める)、現存する中で最大かつよく知られた象牙の合法市場を有しながら、自国の国内象牙市場は違法取引の一因となっていないという日本の主張に異議を突き付けるものである。

特に東京は、象牙が違法に移動する最大の玄関口を構え、全国の18%に達する象牙取引のための 店舗等を有し、日本国内および海外訪日客の消費需要の拠点になっているという点で、大きな問題を抱えている。2020年1月、小池知事は「象牙取引規制に関する有識者会議」(以下「東京都有識者会議」という)を設置し、都内の象牙取引を検証し、違法な象牙取引及び輸出を防止するための対策を検討することとした。この東京都有識者会議は、来る2021年3月29日に4回目の会合を予定している。

「中国の税関は日本から輸出された象牙の入った多数の貨物を押収しています。そして今回、私たちは日本の国内象牙市場が違法な輸出をあおっていることの証拠をつかんだのです。現在の市場に対する規制の現状を見ると、国内取引に対する規制に従いつつ、販売後の輸出を「既定のもの」と想定したビジネスが許されてしまっています」 とワイルドエイドの保護活動プログラム部長ジョンベイカーは述べる。

「日本の合法象牙市場が違法輸出を引き起こしていることの証拠は十分です。密猟または違法取引の一因となる国内象牙市場の閉鎖は、『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』(ワシントン条約)の締約国が全会一致で採択した決定事項です。日本はこの取決めに違反し続けてはなりません」とJTEF事務局長の坂元雅行は述べる。

ベイカーはさらに、「東京都は、象牙取引を禁止し、輸出への抜け穴をふさがなければなりません。この行動はゾウを守るために非常に重要であり、国際社会から歓迎されることでしょう」と付け加えた。

アフリカゾウ(Loxodonta africana)は、国際市場における象牙需要に応えんとする密猟によって、 2006年から2015年の9年間で11万1000頭を失った。その結果アフリカゾウの個体数は減少傾向にある。この問題に対処するため、2016年、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)第17回締約国会議(CoP17)は、密猟または違法取引の一因となっている国内象牙市場を有する国に対し、その閉鎖を勧告した。米国、英国、中国、香港、イスラエル、ニュージーランドその他の多くの国々が象牙市場を閉鎖ないし厳しく規制した。欧州委員会(EC)は、EU圏内の象牙取引を効果的に禁止することを目指す新しい措置を最近発表した。この行動によって、日本は世界で最後の主要な合法象牙市場となる。

WildAidについて

ワイルドエイドは、野生生物の違法取引を現世代で終焉させることを使命とする非営利団体である。多くの野生生物保護団体が密猟に焦点を当てるのに対し、象牙、サイ角、フカヒレ等の野生生物製品の地球規模での消費の減少に取り組む。親善大使を務める著名人のリスト、協力メディアのグローバルなネットワークは他の追随を許さない。メディアの社会貢献による支援としてと年間2億1800万ドル以上に相当する広報枠の提供を受け、簡潔なメッセージを世界に発信している:「買わなければ殺されない。」 

詳細については→www.wildaid.org またはツイッターで @wildaid

JTEFについて

認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金(JTEF)は、野生の生きものの立場に立ってその世界を守り、それを通じて生物多様性を保全するとともに人間の自然環境を守ることをめざして設立された非営利、非政府の団体である。JTEFは日本がかかわる野生生物犯罪を撲滅し、また非持続的な野生生物取引を消滅させるために、野生動物市場を調査し、法制度の分析を行い、法執行機関および目標を共有する世界と日本の組織と協力する。         詳細については→www.jtef.jp