世界野生生物の日に:JTEFからのメッセージ

1024 1012 Japan Tiger Elephant Organization

コロナ・ウイルス「ショック」の影響はすぐに収まる気配がありません。「降ってわいた災難」だと思う人も多いでしょう。しかし、実際のところ、いつ起きてもおかしくない現象でした。人類は、現に2002年のSARSを経験していますし、その後も新しい鳥インフルエンザなどが次々に登場しました。こうした新興感染症が発生し、最悪な場合には蔓延するのは、元をただせば、人間が地球の各地で多様化してきた自然生態系をめちゃくちゃにかき混ぜてしまったためです。具体的には、人間が作りだした、自然界ではありえない物と人の移動、そして人工的なウイルスの生息環境(今回でいえば、野生動物を雑多に詰め込んだ武漢のマーケットなど)です。 SARSのときにも、このような警告は盛んに行われたと思いますが、人類のグローバルな安全保障という意味でも、野生動物の商業的な利用・消費・取引を考え直す必要があります。少なくとも(今流行語になりつつある)「不要不急」な野生動物製品を求めることをやめるときではないでしょうか。

野生動物の商業利用・消費・取引問題を象徴するのが、象牙取引問題です。

日本政府は、この30年間、象牙を商業利用することは善だと公言し、保護団体の声に一切耳を傾けず象牙産業を守り、南部アフリカの生息国に象牙輸出への期待をあおる、一貫した政策をとってきました。

これに対して、今年、注目すべき動きが現れました。2020年1月10日、小池百合子東京都知事が、東京都における象牙取引規制を検討するための有識者会議を開催することを発表したのです。この動きの背景には、海外諸国から、「日本の象牙市場が密猟等を誘発する可能性」や「日本から海外への違法輸出が複数報告」されていることの指摘があったとされています。そこで、「日本の合法象牙市場は、密猟や違法取引の一因となっていない」というのが国の立場であるにもかかわらず、東京都は独自に調査・検討を行って、必要な対策を採るというのです。有識者会議での検討スケジュールとしては、7月に東京オリンピック・パラリンピック開催を契機にいっそう増加する外国人観光客が、合法的に売られている象牙を買い、母国へ持ち帰ってしまうこと=ワシントン条約違反が諸外国から懸念されていることから、5月には報告が取りまとめられるようです。都知事を動かすきっかけとなったのはニューヨーク市長からの要請だったと思われますが、オリンピック前に、都知事が行動を決断したことの意義ははかり知れません。

今後、都知事とその有識者会議に求められるのは、第1に、諸外国の評価に耐える、都独自の基本的考え方を示すことです。国の政策に妥協する結果に終わらず、国際都市である地方自治体としてのプライドを持って都内の象牙市場閉鎖の方針を明らに示すべきです。第2は、都の対策は、諸外国の評価に耐えるような実効性の高いものとすることです。つまり、都内での法的な象牙販売禁止を対策の中心とすべきです。同時に、外国人客が特に増加するオリンピック前に実施可能な緊急対策もあわせて実施する必要があります。

象牙取引からの決別は、日本が、人類のグローバルな安全保障という観点から野生動物の商業利用・消費・取引の政策を考え直すきっかけになるかもしれません。


 

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