ブログ:アフリカ32か国の「アフリカゾウ連合」(AEC)評議員会が、日本に対して、象牙市場の閉鎖を要請

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2019年6月17日:28のアフリカゾウ生息国を含むアフリカ32か国で構成される「アフリカゾウ連合」(AEC)は、その評議員会が、日本政府に対して、世界最大級の象牙市場を閉鎖し、より強固なアフリカゾウの保護を支援するよう要請したことを記者発表した。

アジズ・エルハジ・イサAEC評議員長は、河野太郎外務大臣、原田義昭 環境大臣および世耕弘成 経済産業大臣に宛てた書簡で、「我々は、日本に対し、中国の例に続き、その国内象牙市場を閉鎖するよう求めます。2020年のオリンピック・パラリンピックを迎えるに先立って、この行動をとられることは、貴国の野生生物保全に関する国際的イメージを高めるはずであると確信しております」と述べている。

AEC評議員会は、日本に対し、自身の象牙市場を閉鎖することにとどまらず、AEC諸国がワシントン条約第18回締約国会議(CoP18)に提出しているゾウ保全のための議案を支持するよう求めている。これらの議案の中でも、とりわけ支持が求められているのは次の点である。

  • 締約国会議の決議(決議10)を強化することによって、中国の例に続き、全ての国が国内象牙市場を閉鎖すること
  • 現在、ボツワナ、ナミビア、南アフリカおよびジンバブエのアフリカゾウが、(他の国のゾウが条約の附属書Iに掲載されているのに対し)、附属書IIに分割掲載され、一定の条件の下で象牙取引を許されることになっているところ、これらをすべてのアフリカゾウを附属書Iに格上げし、ワシントン条約のもとで可能とされる最も強い保護を与えること

AECは、「ゾウが最大限の保護措置を与えられるべきだとするならば、そのすべてが附属書Iに掲載されなければならない」と訴え続けてきた。附属書への分割掲載は、2008年に南部アフリカの在庫象牙が中国および日本へ売却された後の需要の急上昇に見られたとおり、消費者の象牙に対する需要を揺さぶり、象牙取引を継続させる結果となる。その中国は、2017年に市場を閉鎖したが、一方の日本は世界最大の市場の1つであり続けている。しかも、日本から著しい量の象牙が中国に違法に輸出されている具体的な証拠がある。この日本の対応は、国際取引禁止の効果を削ぐこととなっている。

AEC評議員長は、今回、王毅(おうき)中華人民共和国外務大臣に対しても書簡を送っている。そこでは、「習近平国家主席のリーダーシップのもとでの国内象牙市場閉鎖という」中国の「歴史的な保全政策」に対して感謝の意を表しつつ、中国に対しも、AECがCoP18に行った提案への支持を求めている。

日本と中国に宛てられたこれらの書簡では、32か国から成るAECのミッションが、大多数のアフリカゾウ生息国と、それを支援する世界の人々およびほとんどのゾウの研究者の声を代弁していることが強調されている。そのミッションは、「存続可能で健全なゾウの個体群を、象牙の国際取引による脅威から解き放って、維持すること」にあり、ボツワナに先導される少数の南部アフリカ諸国が、依然としてゾウを象牙のために収奪するのとは一線を画している。

ワシントン条約CoP18(8月17~28日)の開催まで2か月を切った。その直後(8月28~30日)には外務省が 第7回アフリカ開発会議(TICAD)を横浜で開催する。間もなく開催されるG20でもが日本の地球環境問題におけるプレゼンスが問われる。このような国際政治的な背景の中で、アフリカゾウを年間2万頭に及ぶ象牙目的の密猟から救うために、それを助長し得る日本の象牙市場を閉鎖してほしいというアフリカゾウ生息国の78%(28/36)を含むアフリカ32か国からの問いに日本がどう応えるのか。それが今問われている。

*アフリカゾウ連合(AEC)(本部:ポルトノボ、ベナン共和国、西アフリカ)は、2008年のマリ共和国会合において正式に設立された後に発展を遂げ、東アフリカ、西アフリカおよび中央アフリカの32か国で構成されるまでに成長した。

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